熊本の甲玉堂でペンクリニック初体験!万年筆ドクターの診断結果は?

ペンドクターによる診断中

みんないい人すぎ!いい時間を過ごさせてもらったペンクリニックレポート

今回は僕が住んでる熊本の『万年筆』のお話です。

2019年6月14日に、熊本市中央区上通りにある甲玉堂さんで開催されたペンクリニックに行ってきました!(ペンクリニックは14・15日の2日間開催)

ペンクリニックはその名の通り、ペン(万年筆)を診断・修理してくれるドクターの方に診てもらうクリニックのこと。

  • インクがきれいに出ない、出すぎる
  • 久しぶりに使おうと思ったら書けない
  • ペン先がガサガサしててこのまま使っていいのか不安
  • 長年愛用してる万年筆の調子を診て欲しい
  • 新品の万年筆を自分好みに調整したい

などなど、万年筆の修理・メンテナンス・トラブルなど、なんでも来いの万年筆プロフェッショナルな方とお話ができる貴重なイベントです。

甲玉堂のペンクリニックと修理体制について

東京などでは定期的にペンクリニックが開催されてるようですが、熊本では店舗も頻度も少ないため(熊本では甲玉堂さんだけだと思います)、熊本の万年筆ユーザーにとってはこのイベントは貴重です。

甲玉堂さんでは年に1、2回ほど東京からペンドクターの方をお招きして、ペンクリニックを開催されてるそうです。

他県で開催されてるペンクリニックでは、モンブランは対象外のこともあるようですが、今回はそういう記載もなく、モンブランも診てもらえました。

今回のイベントは甲玉堂さんのFacebookで知りました。

ちょうど万年筆生活を始めて間もない頃だったので、まさにドンピシャのタイミングでした。

ペンクリニックが開催されてない時も、店長の方に相談すればある程の修理なども対応可能とのこと。

ただし、その場での修理ができない場合は東京に送って修理になるそうです。

診てもらった万年筆

まずは1本目。

2年間使わなくてもインクが乾かない万年筆を2本買ってから、本格的に万年筆生活をスタートしました。

万年筆生活の前は、黒・赤・青・緑の4色ボールペン(0.28mm 基本的に細字好き)を使い分けてました。これを引き続き万年筆でも継続するには4本の万年筆が必要です。

プラチナ万年筆 #3776 センチュリーの2本は、軸色と同じ青と赤系のインクを入れて使ってたので、緑用と黒用の万年筆が足りない。

というわけで、緑用にはパイロット カスタム74のSF、黒用にはプラチナ万年筆 #3776 センチュリーのSFを買いました。

黒と緑は手帳だけでなくノートでも使いたかったので、EFよりちょっと柔くて太いSFにしてみました。

数日間はとても気持ちよく書けてたんですが、しばらくするとちょっと気になる点がちらほらと…

まず、カスタム74 SFのインクフローが多い。悪く言うとちょっとドバドバ。

特に手帳に書くときは小さい文字を書くんですが、同じSFの#3776 センチュリーよりインクがたくさん出てしまう。

メーカーが違うので当然なんでしょうが、欲を言えばもうちょっとインクが出ないように調整したい。

というわけで、1本目は『パイロット カスタム74』。

 

続けて2本目。

#3776 センチュリー EFの2本が、同じペン先のはずなのに、シャルトルブルーとブルゴーニュの線幅が微妙に違う

シャルトルブルーにはプラチナ万年筆のブルーブラックのインク、ブルゴーニュにはパイロットの色彩雫 紅葉を入れてます。

色彩雫を入れたブルゴーニュの方がほんのわずか線幅が太い。

これがインクの違いによるものなのか、ペン先によるものなのかを確認するために、インクを変えてみることに…。これが元でペンドクターに診てもらうことになりました…。

胴軸とコンバーターを外し、首軸を水で洗ってる最中に、シャルトルブルーの首軸を床に落下させてしまいました…。

万年筆のペン先って、デリケートに作られてるのでペン先から落ちた場合はペン先が曲がって使い物にならなくなることもあります。

急いでペン先を確認すると…変形などはなさそうで一安心。

カートリッジをつけて書いてみても、特に変わったことはなさそう…。

肝心の文字の太さは、どうやらインクが原因のようでした。インクを変えたらシャルトルブルーの方が太くなったので、パイロットの色彩雫は若干粘度が弱いようです。

その後、そのまま使ってましたがどうもペン先がカリカリざらつくような気がする…。このざらつきが落下によるものなのか以前からなのか、それが分からない。

それから数日、気になって気になって仕方ないので、ペンクリニックに持っていくことにしました。

というわけで、2本目は『プラチナ万年筆 #3776 センチュリーのシャルトルブルー』。

 

ペンクリニックでは2本までしか無料で診てくれません。

なので、有料でも構わないと思ったのでモンブランのモンブラン マイスターシュテュック 146も持っていくことにしました。

これは20年ほど前に手に景品でいただいたもので、たまにインクを入れて楽しむ程度しか使ってきませんでした。

本格的な万年筆生活をはじめたので、この機会にこの名品もバンバン使うことに。

インクフローも文句なし。書き味もMということもあり、手持ちの万年筆の中では群を抜く書き心地です。

ただ、20年以上、一度もペンドクターに診てもらったことがないので、これが本来のモンブランの書き心地なのかが分からない

一度、専門家の方に診て欲しいとずーっと思ってたので、この機会に診てもらうことにしました。

というわけで、今回持っていった万年筆がこちら。

モンブラン マイスターシュテュック 146、パイロット カスタム74、プラチナ万年筆 #3776 センチュリー

上から、

  • モンブラン マイスターシュテュック 146
  • パイロット カスタム74
  • プラチナ万年筆 #3776 センチュリー

の3本です。

甲玉堂のペンクリニック 店内の様子

甲玉堂ペンクリニックの様子

甲玉堂で行われたペンクリニックの様子

上記写真は店員さんに許可を得て撮影したものです。

14日の10時過ぎに着いたんですが、すでに2名の先客がいらっしゃいました。僕の前に先客が2名、僕が待ってる間に2名が並ばれたので、お客さんは多そうです。

14日は平日ですが、15日は土曜日なのでさらに人が多いんじゃないでしょうか。

受付票に記入して、順番待ち。

店員さんに「2本まで無料なんですよね?」「3本目からはおいくらですか?」と尋ねると、限られた時間でたくさんのお客さんに利用してもらうため、2本までしか受付していないとのこと。

「ちょっとペン先を診てもらうだけでもダメですか?」と図々しく聞いてみたら、

「お客さんの混み具合によっては大丈夫かもしれません」とのことでした。

自分の順番までしばらく時間があったので、店内を見て回ることに。

モンブランのマイスターシュトゥック149はもちろん、ペリカンのスーべレーンM800やM400、その他見たこともないような装飾の万年筆がずらり。

あと、ずーっと気になってたパイロットのエラボーを見たり、カスタム743のフォルカンを試し書きさせてもらったりと、ウキウキする時間を過ごさせてもらいました。

店員さんも店長さんも快く対応していただき、ありがとうございました。楽しかったです!

ペンドクターによる診断結果

ペンドクターがルーペでペン先を見ている様子

ペンドクターの方はパイロットの方で、東京からいらしたとのこと。

この写真も事前に「写真撮ってもいいですか?」とお尋ねして、「顔が映らず手元ならいいですよ」とのことでしたので遠慮なく撮影させてもらいました。

 

まずは「パイロット カスタム74」から。

インクが出すぎるということと、普段使ってる手帳を見せて「こんな感じになるんです」と説明して診断開始。

ルーペでペン先を見て試し書きを繰り返したあと、「特にインクが多く出てるということはありませんね」との診断。

インクが出過ぎるような感じがするならインクの出を多少抑えることもできます、とのことだったので、ペン先を調整して若干インクの出が悪くなるようにしてもらいました。

指でペン先をグイグイと調整される光景は初めてだったのでちょっと衝撃的でした。思わず「手でやるんですね?」と聞いてしまいました。ペン先を絞る時は指でやったり、広げる時は工具を使ってやりますね、と笑顔で答えてくれました。

そのほか、SFはペン先が柔らかいので押し付けて使い続けているとペン先が広がってインクが出すぎるようになってしまうなど、いろんな情報を教えていただきました。

 

次に「プラチナ万年筆 #3776 センチュリー」。

ペン先から落ちたかは不明だけどペン先を落としたこと、カリカリざらつきが気になることを伝えると、1本目と同様、ルーペと試し書きで診断開始。

特にヒビが入ったり曲がったりということはないとのことで一安心。ざらつきが気になるなら多少削ることもできますよ、とのことでしたがEFという細さを考えたらこれぐらいは許容範囲だと判断して、特に作業はしてもらいませんでした。

ずーっと気になってたペン先が問題ないことが分かったので、これでやっと安心して眠れます。

 

ここまでの所要時間は5分ちょっと。

最後に「モンブラン マイスターシュテュック 146」を取り出して、「20年ほど前に手に入れたものなんですが、ペン先だけでも診てもらえませんか?」と恐る恐る言ってみると、「じゃあ、ちょっと見てみましょう」とおっしゃっていただいて、診断開始。

ペン先の書き味チェック

【注意点】本来はペンクリニックは2本まで無料(別途修理代がかかり場合もあり)です。今回は無理言ってやってもらいましたが、混雑してる場合は遠慮するようにしてください。

僕的には全く問題ないと思ってたペン先ですが、ペンドクターさんによると「ペン先が若干食い違ってますね」との驚きの言葉が。

どうもペン先の高さが食い違ってる状態で、左に倒した場合に若干文字がかすれる症状が発生してるとのこと。

「ついでなので直しておきますね」とおっしゃっていただいて、ほんの1分ぐらいで直していただきました。

こんな細かな症状をすぐに発見して、すぐに直せるペンドクターさん、すごいです!

あと、ペン先はまだまだ使える状態だということも教えていただき、これからたくさん使えることも分かりました。

ペンクリニックが開催されない場所の場合

僕が持ってる万年筆は、モンブラン以外、すべてネット通販で購入してます。

これまで特に不具合を感じることもなかったんですが、本格的に万年筆生活をはじめてみると、意外と気になることが出てくるもんです。

今回はちょうどいいタイミングでペンクリニックが熊本で開催されましたが、実はこの前に購入直後のプラチナ万年筆 #3776 センチュリーのSFの文字がかすれる症状が出ました。

近くに診てもらえる文房具屋さんがあることを知らなかったので(熊本では甲玉堂さんが診てくれることは今回初めて知りました)、メーカーに封筒に入れて送ったばかりでした(事前に電話で症状を伝えてから送りました)。

文房具屋さんで試し書きして購入した場合は、購入店に持って行って相談すればいいんですが、ネットだとそうもいきません。

さらにペンクリニックが開催されない地域だと、ネットで購入した場合にどうすればいいのかわかりません。

その場合は、メーカーのサポートに電話してみてください。

今回はプラチナ万年筆のお客様相談係に連絡しましたが、他のメーカーにもカスタマーサポートがあるので、事前に連絡して郵送すれば修理してくれるはずです。

まとめ

今回、初めてペンクリニックを利用させてもらいましたが、モヤモヤしてたのが全部スッキリして爽快な気分です

落として壊したかもしれないセンチュリーのペン先も大丈夫だということが分かったし、モンブランも食い違いを直してくれたので、思い切って使えます。

カスタム74に関しても自分の好みに調整してもらえて、使い勝手が向上しました。

また、ペンドクターの方をはじめ、甲玉堂のスタッフさん、店長さん、さらにはお客さん(前の方がちょっと時間がかかってた)も「待たせてすみません」とご丁寧に言っていただけたし、僕も同じように次の方に「お待たせしてすみません」と頭を下げたら、上品な老婦人の方もニコニコと会釈されたし、もう皆さんがいい人すぎ

ほんとにいい時間を過ごさせてもらいました。

甲玉堂さんでは、ペンクリニックの告知をホームページやFacebookでされてますので、気になる方はチェックしてみてください。

万年筆やインクの品揃えも豊富なので、熊本にお越しの際はぜひ立ち寄ってみてくださいね。

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